ごあいさつ

発達障害研究室は、201010月に脳機能系障害研究部の設置とともに開設され、小倉加恵子室長のもと、発達障害者の特性を明らかにするための研究や支援の実態調査等の研究が開始されました。

20134月より、私こと和田が室長に着任し、感覚の問題や道具使用の困難など日常生活上の「生きにくさ」の背景にある脳の仕組みを明らかにするための研究に取り組んでおります。私自身は、医学を学び、国リハに着任する前は、神経生理学や神経科学をバックグラウンドに、脳が時間・空間をどのように取り扱っているか、といった基礎研究を行っていました。一方、発達障害の中でも自閉スペクトラム症は、社会的コミュニケーションの問題に注目されがちですが、感覚過敏・鈍麻をはじめとする様々な感覚・運動の問題が存在することが知られています。しかも、コミュニケーション自体も人と人の間の情報の流れによって成り立っているものであり、そこには感覚情報の処理が密接に関わっています。従って、これらの障害メカニズムの解明には、脳が感覚情報をどのように取り扱っているか、といった研究が貢献できると考えています。

研究室には、心理学・神経科学、工学、医学など様々な領域を専門とする者が集まり、センター内外の臨床家・当事者・研究者と連携しながら研究を進めています。さらにその研究を活かして新しい支援機器/手法を開発することで、発達障害に関連した「生きにくさ」の解消を目指していくのが私たちの目標です。今後ともよろしくお願い申し上げます。

国立障害者リハビリテーションセンター研究所・脳機能系障害研究部
発達障害研究室長 和田真