排泄問題ワークショップ2012
第2回目 ワークショップ
■日 時 2013年2月3日(日)13:00〜17:00
■場 所 国立障害者リハビリテーションセンター本館4階中会議室
■参加者 障害当事者8名、企業開発者7名、ファシリテータ4名
■内 容
・排泄を取り巻く理想の社会づくり
・ロードマップの作成
理想の未来像づくり
議論の様子
休憩中に
ロードマップの発表
■ディスカッション@ 排泄を取り巻く理想の社会づくり
排泄の問題は、それを取り巻く社会にも課題を残しているとの議論から、理想の社会づくりへの議論へと発展していった。その中でも、トイレに関するハード環境、障害者と健常者との情報共有、災害時のトイレの問題、ヘルパーや排泄コントロールなどの医療・介護、トイレに関する制度・基準づくりなどが、議論の中心となった。
<ハード環境>
・既存施設も含む、利用できるトイレの拡大
・トイレのきれいさ、使いやすさ
・スロープや荷物置き、リフトなどのトイレ内の設備の充実
・鉄道利用時などのトイレ以外の設備への要望
・車いす対応トイレの位置を示すサイン
<情報共有・理解>
・障害者が積極的に社会へと出て行く交流の場の創出
・トイレ表示の「多目的」の意味、考え方、意識・気づきとマナー
・健常者がトイレを手伝えるようになる研修
・トイレマップやトイレの使いやすさに関する情報収集と交換
・海外の事例や対処方法などの調査・学習の場づくり
<技術開発>
・トイレでのリフトや排泄の補助を行う器具の開発
・汚物の消臭を効果的に行う薬剤
・健常者でも使えるマイカーのような車いす
<災害時>
・避難所ともなる公共施設のトイレ整備と車いす充電施設の設置など
・災害時のヘルパーの確保などの問題への対策
<医療・介護>
・緊急時のヘルパーや看護師などの窓口の一本化
・排泄をコントロールするためのコンサルティング
<制度・基準づくり>
・車いす用トイレの設置基準の策定
■ディスカッションA ロードマップづくり
ロードマップづくりは、理想の社会づくりで議論された内容をもとに、参加者が重要度に応じて取り組みたいことを選び、実現するまでのプロセスをイメージしながら議論して行った。
議論は2班に分かれて実施したが、偶然にも両班とも障害者と健常者が共存できる社会を目指すという大きな目標が掲げられた。また、そこに向かうプロセスについても、「災害」「トイレ情報」「新しい技術」「教育」というキーワードが一致した。
○1班
ロードマップの最終到達点として、町中の「トイレの情報公開」がされている事、障害者と健常者が共存する事が「当たり前の社会」づくり、「災害時の不安が解消」されている事、「新しい排泄方法」が生まれている事の4点がそれぞれ目標とされるロードマップを作成した。
お店のトイレ情報が充実する事で障害者の外出が増え、結果として色々な人の交流を促進し、災害時の助け合いにも繋げようというストーリーや、当たり前の社会に向けて、小中高大の学校教育や一般企業向けの講習プログラムなどを提案する事で、障害への理解を深め、新しい排泄方法の開発にも繋げようというストーリーなど、各分野のロードマップの実践が、双方に影響を与える効果も配慮して提案された。
○2班
議論の出発点として「排泄という問題は具体的にどのような問題があるのかを知らせるためには、障害者は積極的に街に出て声を出そう」というところから始まり、30年後に目指す目標として障害者も健常者も同じように暮らせる社会を掲げた。この目標像に到達するために5つの分類項目を立てて、項目間の相互関係はあるもののそれぞれについて、現状の問題点をすぐに解決すべきことや、将来に渡って着実に準備を進めていくことを議論した。
5つの分類として、「障害者という語が無くなるような社会を目指す教育」「車いすユーザが使いやすい多目的のトイレの普及」「新しい排泄の方法を生み出す技術の開発」「外出をサポートする情報サービス」「災害時の対応」を挙げた。相互は関係していて、特に健常者のマナーの問題や外出先の施設の対応などは、教育の問題が根幹にあるとの意見が集中した。
また、さらにこの井戸端会議で出された課題を整理して、行政への提言活動に活かすべきだという方向性も示された。
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国立障害者リハビリテーションセンター研究所