発達障害の女性の中には、幼児期や学童期には気づかれず、思春期以降になって違和感を抱くようになる人もいます。

 ここでは、おもに自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性があり、知的発達に遅れのない、小・中・高等学校の通常の学級にいる思春期の女子を想定し、学校生活での気づきと支援のポイントをまとめました。 

女性の発達障害は気づかれにくい

 発達障害があっても知的発達に遅れのない女性は、表面的にはコミュニケーションの苦手さがカバーされてしまって、発達障害の特性があまり目立たないことがあります。

 また、いわゆる「女性らしいふるまい」を期待されることも、身だしなみや片づけ、人づき合いなどを上手にこなせない発達障害の女性にとってはストレスとなります。

 さらに、周りの人からは問題がないように見えても、実際は周りに合わせようと必死に頑張っていることも少なくありません。そのため、葛藤を抱えて悩んでいてもなかなか気づいてもらえないのです。また、心身の不調などの二次的な問題につながってしまうこともあります。

生きづらさが表面化しやすい思春期

 思春期は、自分を見つめるようになり、他人の目を気にするようになる時期です。イメージすることや人の気持ちを読み取ることなどが苦手な発達障害の子どもは、自分と他人との違いを感じて孤立感を深めてしまったり、自分がどう思われているのかわからずに混乱したりすることがあります。

 また、思春期の頃から対人関係が複雑になり、周りとのギャップが次第に大きくなるために、発達障害の特性による生きづらさが表面化しやすくなります。

 さらに、第二次性徴によって身体や心の状態が大きく変化しますが、発達障害の子どもにはその変化自体がストレスになります。女性の場合は、月経時に感覚過敏の特性が強まったり、月経前症候群(PMS)の症状が重くなったりする人もいます。

学校での生きづらさに気づく

 精神的にとても傷つきやすい思春期は、日常のちょっとしたつまずきや困難が学校生活への不適応につながることもあります。

 自分の気持ちを表現することが苦手な発達障害の子どもは、不安やつらさを身体症状として訴える場合があります。

からだの不調が続いている。

保健室で過ごすことが多い。

欠席が多い。

 そういう子どもの中に、自分は「みんなと同じにできない」「普通じゃない」と悩み、「自分はダメだ」と苦しんでいる発達障害の子どもがいるかもしれません。

 周りの人が子どもの言葉や行動の背景に気づき、子どもの困りごとに応じて、発達障害の特性に配慮した支援をすることで、学校がより生活しやすい場になります。

 学校での気づきの視点として、次の項目を挙げました。思春期の女子の困りごとと支援のポイントについて解説します。

 ただし、内容によって、実際の支援場面では同性が担当したほうが良い内容もあります。その場合は、必要に応じて女性の先生や養護教諭の協力を得るなどしてください。

 発達障害の子どもに関わる学校での支援については、独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所「発達障害教育推進センター」のホームページもご覧ください。

学校における指導・支援

発達障害のある子どもの合理的配慮