国立障害者リハビリテーションセンター第4期中期目標
-障害者のリハビリテーションニーズを捉え、共生社会の実現に向け、自立と社会参加に貢献する-
制定:令和7年4月1日
国立障害者リハビリテーションセンターが達成すべき業務運営の目標(以下「中期目標」という。)を次のとおり定める。
国立障害者リハビリテーションセンター総長 芳賀 信彦
(前 文)
前身の国立身体障害者リハビリテーションセンター(以下「旧国リハ」という。)は、昭和41年11月に出された身体障害者福祉審議会答申に基づき昭和54年に設置された。旧国リハは「各種リハビリテーション施設のモデル」としての役割を大いに果たすとともにリハビリテーションに関わる人材の育成、研究開発、国際協力においてもその機能を発揮した。旧国リハは平成20年に国立障害者リハビリテーションセンター(以下「国リハ」という。)へ名称を変更し、同年、発達障害情報センター(現発達障害情報・支援センター)が厚生労働省本省から移管された。平成22年には障害者の保健サービスを行うものとして健康増進センター(現障害者健康増進・運動医科学支援センター)が、平成23年には高次脳機能障害情報・支援センターが設置され、平成30年には企画・情報部情報システム課に支援機器イノベーション情報・支援室が設けられて、生活支援機器の普及、制度施行の均等化、格差是正を目的とする取組を開始した。
このように国リハの役割は当初の「各種リハビリテーション施設のモデル」の提示から、研究開発、情報発信等へとシフトし、併せて各部門間の連携を進めた。一方で、地方自治体においてはリハビリテーションセンターの設置、あるいは障害者の地域共生への施策は進みつつあるが、未だ地域間格差は存在している。また、高次脳機能障害、発達障害、吃音、多発外傷や再生医療リハビリテーション等、引き続き、取り組まねばならない課題も存在する。そのため、リハビリテーションモデルの提示、支援機能の均てん化については、研究開発、情報発信等に加えて今後とも継続すべき課題と考える。
また、第3期中期目標において設定した目標の多くはコロナ禍を経つつも達成することができたが、コロナ禍を経験することで、障害者・難病者を取り巻く新たな課題も明らかになってきている。このため障害者・難病者を対象とした、時代に即した、かつ先進的なリハビリテーション医療及び障害福祉サービスを展開し、その成果を計画的に発信していくための体制作り等が今後の課題となってきているところである。このような状況を踏まえ、今後国リハが果たすべき機能や役割、重点的に実施すべき事業の検討や第4期中期目標策定に向けた論点整理のため、令和6年度に「国立障害者リハビリテーションセンターの事業のあり方に関する検討会」を開催し、報告書が取りまとめられたところである。
障害者施策に関する法律の改正等も行われてきている。令和4年12月には、障害者等の地域生活の支援体制の充実、障害者の多様な就労ニーズに対する支援等の推進、障害福祉サービス等についてのデータベースに関する規定の整備等を内容とする「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律」が制定された。令和5年3月には障害者基本計画(第5次)が閣議決定された。基本計画においては、障害者権利条約の理念の尊重及び整合性の確保、共生社会の実現に資する取組の推進、当事者本位の総合的かつ分野横断的な支援、障害特性等に配慮したきめ細かい支援等が、各分野における横断的視点とされている。また、令和6年4月には、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律」が施行され、障害者に対する合理的配慮が民間事業者にも義務付けられることとなった。
このような時代背景の中で、障害者の地域での共生を推進していくため、国リハとしては人口構造の変化や社会の進歩、科学技術の発展に鑑み、前述の検討会の報告書の内容をも踏まえ、地域共生社会の実現に向けた事業展開が今後ともより一層必要とされている。
以上を踏まえて第4期中期目標をここに策定し、目標達成に向け職員が一丸となって取り組むこととする。
第1 中期目標の期間
令和7年4月1日から令和12年3月31日までの5年間とする。
第2 国立の中核機関としての役割の遂行に関する事項
1.リハビリテーション医療の提供
障害者や障害になるおそれのある者を対象に、適切なリハビリテーション医療を提供するとともに、時代の要請に応えた取組を強化し、先進的なリハビリテーションプログラムの開発(重複障害等の困難事例等)や、試行的サービスの提供を行う。部門間や外部機関との連携による再生医療を含めた臨床研究開発機能の強化や患者支援サービスの充実を図る。病院運営については、適切なリハビリテーション医療サービスの提供に向けて、病床数、セラピスト等の人員体制等について検討を行う。
(1)先進的なリハビリテーション医療の推進
先進的なリハビリテーション医療(再生医療や情報技術(IT)機器等の先端技術を用いたリハビリテーション、重度障害、重複障害、高齢障害者等における対応困難事例のリハビリテーション等を含む)を推進するとともに、リハビリテーション手法の開発や、試行的サービスの提供を行い、その積極的な情報発信に努める。次のリハビリテーションの充実を図る。
① 頚髄損傷を含む脊髄損傷(再生医療を含む)
② 多発外傷、切断(特に多肢切断への対応)
③ 先天性四肢形成不全(筋電義手)
④ 高次脳機能障害
⑤ 難病
⑥ 発達障害(特に思春期以降の対応)
⑦ 吃音
⑧ 視覚障害
⑨ 聴覚言語障害
(2)適切な障害者医療・看護等の患者支援サービスの提供
障害者や障害になるおそれのある者を対象に、障害特性に配慮して、適切な障害者医療、看護、二次障害の予防や健康増進活動等の患者支援サービスを提供し、その積極的な情報発信に努める。
(3)部門間や外部機関との連携による臨床研究開発や臨床治験への参加、患者支援サービスの強化
部門間や外部機関との連携により、臨床研究開発機能の強化を図り、臨床研究、研究倫理に係る法令を遵守して臨床研究を推進するとともに、医療から社会的自立までのリハビリテーションの充実を図る。また、地域との連携による患者支援サービスの充実を図り、その積極的な情報発信に努める。
さらに高い臨床研究倫理のもとに、外部機関との臨床治験にも参加して、先進医療の推進に貢献する。
(4)適切なリハビリテーション医療サービスの提供に向けた病院運営の検討
適切なリハビリテーション医療サービスの提供に向けて、病床数、セラピスト等の人員体制等について検討を行う。また、患者が安心してサービスを受けられるよう、医療安全管理、感染防止対策等の安全面における管理や、専門職の育成、職員の資質向上等の人材育成においても充実を図る。
2.障害福祉サービスの提供
障害者のニーズや社会情勢を踏まえ、国立機関としての役割を担っていくため、自立支援局の支援体制について検討を行うとともに、新たなニーズへの対応やサービスの質の向上への取組を行い、そこで得られた事業成果を普及・啓発していくため、情報発信体制の強化を図る。
(1)自立支援局機能の将来像の検討
障害者等のニーズや社会情勢を踏まえ、国立機関としての役割を担っていくため、自立支援局として行うべき障害福祉サービス、支援体制等の将来像を引き続き検討する。
(2)サービスの質の向上と新たなニーズへの対応
サービスの質の向上や新たなニーズへの対応を図るため、サービスの体系化・効率化、支援の充実等に積極的に取り組む。
① 頚髄損傷者等に対する支援の充実
ア 頚髄損傷者等の生活実態等を調査し、新たなニーズを把握し、支援・訓練の方法等を検証する。
イ 頚髄損傷者が抱える多様な就労ニーズに対応する中で、就労支援の充実に向けて取り組み、頚髄損傷者の就労に関する情報発信を行う。
ウ 地域の病院や支援者に対する研修会等の開催及び専門職員の派遣等を通して、地域連携におけるニーズの把握及び支援体制の検証を行う。
② 視覚障害者に対する機能訓練の充実
在宅での訓練を含め、多様な訓練体系でサービスを提供しながらICT機器を活用し、視覚障害者に対する支援の充実に向けた取組を進める。さらにICT機器活用にかかる地域支援者の養成を行う。
③ 高次脳機能障害者に対する支援の充実
高次脳機能障害を有する高齢者等の支援の充実に向けた取組を進める。
④ 標準的なサービスの体系化と効率化
各種サービスにおいて、評価方法や訓練プログラムの開発・充実を図り、標準的なサービスの体系化と効率化を進める。
⑤ 就職率及び定着率の向上
職場開拓及び就労マッチング支援の充実、就労につながる支援プログラム、事例集等を作成し、就職率の向上を図る。また、職場定着に向けた支援及び就労定着支
援の円滑な実施により定着率の向上を図る。
⑥ 特別な配慮を要する就労移行支援(養成施設)利用者に対する効果的・効率的な支援体制の強化
障害が重複する利用者や学習に躓きやすい利用者など特別な配慮を要する利用者に対応するため、特別指導教官のより一層の育成と支援方法の充実を図る。
⑦ あはき師国家試験合格率の維持・向上と利用者の実技力の向上
教官の指導力向上に向けた研修体制を強化するとともに、利用者の能動的学習環境を整備・推進し、国家試験合格率の維持・向上を図る。また、教官による実技指導の均質化を進めることにより、利用者の実技力の向上を図る。
(3)秩父学園の機能強化
① 支援が難しい知的障害児(特に強度行動障害を有する児童等)に対する先駆的・総合的支援
国立施設として、支援が難しい知的障害児に対して、先駆的・総合的な支援に取り組む。特に強度行動障害を有する児童については、18歳到達を待たずとも受け入れ後に落ち着いた段階で、地元に戻すことについて実証していく。
② 地域生活移行に向けた支援の充実
地域生活移行に向けた支援や移行後のフォローアップを着実に行う。また、自治体の協力を得ながら関係機関等に働きかけを行い、地域の受け入れ体制の構築に取り組む。
③ 職員派遣、研修等による支援ノウハウの普及
全国の知的障害児等を支援する事業所の人材育成に向け、職員派遣による支援者のサポートの充実、研修の受け入れを推進する。
(4)人材育成
① 職員の資質向上
職員の教育・研修に関する基本方針に沿って、年間計画を策定し、教育・研修に取り組む。
② 専門職員の実習・研修の実施
専門職員や実習生等の福祉サービスに関わる専門職の実習・研修の受け入れを推進するとともに、地域のニーズに対応して職員を派遣する。
3.支援技術・支援機器・支援システムの研究及び開発
障害者リハビリテーション分野に特化した唯一の国立機関として、また、自立支援局・病院という臨床現場を有する特性を活かして、障害者の自立やQOL向上を図るための支援技術・支援機器・支援システムの研究及び開発を推進し、その成果を発信する。また、厚生労働省直轄機関として国の政策立案に資する研究を実施する。
(1)臨床現場を有する特性を活かした研究及び開発の推進
① 新しいリハビリテーション技術の研究及び開発を行う。
② 新しい診断・治療技術の研究及び開発を行う。
(2)障害者の自立と社会参加を支援する研究及び開発の推進
① その時代に即した技術(AI(人工知能)、情報アクセシビリティ関係など)及び先端技術を導入した支援技術・支援機器・支援システムの研究及び開発を行う。
② 支援技術・支援機器の普及に関する研究を行う。
(3)国の政策立案に資する研究の推進
① 行政データの収集・解析を行う。
② 施策立案への提言を行う。
(4)人材の育成と競争的研究資金の活用
① 流動研究員及び研修生・実習生の積極的な受け入れを推進する。
② 研究倫理及び不正防止等に関して、職員の資質向上を図る。
③ 競争的研究資金の積極的な活用を推進する。
(5)研究活動促進のための見直し
研究所の環境整備を促進するとともに、他部門との研究支援体制の充実及び部門間連携について推進する。また、研究テーマの立案プロセスは国や関係機関との連携を図る。なお、産学官の連携強化についても推進する。
(6)研究データの利活用の推進
① データの社会的共有を可能とするシステム(以下「機関リポジトリ」という。)をもとに、国リハ内の既存データを利活用することで、新たな研究・リハビリテーション手法の開発を行う。
② 研究データの情報公開の充実を図る。
4.リハビリテーションに関する専門職の人材育成
我が国の障害者リハビリテーション分野、知的・発達障害福祉分野において、臨床家としてのみならず研究者・教育者として指導的役割を担い得る専門職を育成するために、先進的な知識と技術を付与する。
(1)障害関係専門職の育成
指導的役割を担う専門職の育成の観点から、卒後教育の充実を図る。学生確保のための効果的広報に努め、定員充足率の維持向上を目指す。また、教官の教育者としての専門性を醸成するとともに、学生支援の一層の充実を図る。障害等のある学生に対しては在学中の合理的配慮に加え、卒後のキャリアパスなど個別の支援も検討する。
(2)障害関係専門職人材育成のあり方の見直し
現任者も対象とした有資格の専門職育成等の導入も含めた新たな現任者研修の創設を検討するなど養成のあり方を検討し、見直しを行う。一方で、現行の養成課程における学生定員の適正化を図る。学生支援室員の専任化など組織の拡充を目指すとともに新たな研修の運営体制を検討する。
(3)専門職に対する研修機能の充実
研修事業について、立地条件や定員の制約等を解消する観点からのICTの活用を図るとともに、国主導研修として指導者養成をするとの趣旨を考慮し、必要に応じて、(2)で検討された現任者研修も含めて新規事業の立ち上げ、内容改善、廃止等を行う。
5.障害者の健康増進推進、運動医科学支援
障害者が、その障害の初期から地域生活期に至るまで、健康で活動的な生活を維持・推進できるよう、具体的方法の研究開発・提案を行い、その実践・普及を図る。運動は社会参加そのものにもつながることから、障害者が運動・レクリエーションに安全かつ円滑に取り組めるよう、調査研究と支援を行う。
(1)健康増進プログラムの実践と普及
様々な障害のある当事者がその特性に応じて心身の健康を維持・増進できるよう、医学・保健・運動・栄養の面から捉え、健康増進プログラムの研究と実践を行う。また、現場において健康増進に関する事業に携わる人材の育成と連携を支援し、事業の普及を図る。
① 障害と目的に沿った健康増進プログラムの運用法の確立
運動指導の際に医学的状態、社会的環境に応じて目的を設定し、それに応じた評価法を用いながら効率的に健康増進プログラムを運用する。
② 健康増進の地域交流モデルの構築と実践
地域の健康増進リソースと連携し、地域社会での長期的な健康維持を推進するモデルを構築・実践する。
③ 各県拠点施設との連携
遠隔地の拠点施設への訪問による情報提供や現状把握を行う。ホームページでの情報発信を行い、関連職種のネットワーク構築を進めるとともに連絡会を開催することにより、健康増進の取組の普及・均てん化を進める。
④ 人材育成
ヘルスプロモーション研修会を中心に、関連職種に対する研修会を実施する。
(2)障害者の運動の参加と健康増進への取り組み
健康増進の一環として、障害者に運動を促すことで二次障害の予防につなげる。
① 障害者が自らの障害に応じて適切な運動機会を得られるよう健康増進の一環として医科学支援を行うとともに、障害者の運動への関心を高め、参加を推進する。
② 障害者を対象とした人間ドックを実施し二次障害の予防に努める。
③ 関連の競技団体と連携しながら、パラアスリートに対するメディカルチェックを行う。
6.全国の支援拠点への支援機能の強化
高次脳機能障害、発達障害に係る全国の支援拠点への支援機能を果たすよう、情報の収集・整理・発信を強化するとともに、新たな課題に取り組む。
(1)情報共有と発信の強化
障害特性等に関する国民の理解を深め、当事者やその家族等への適切な支援につながるよう、支援拠点等との連携、情報共有を進め、情報収集・発信機能の強化を図る。
(2)調査・研究、課題解決のための取組
各地域における当事者やその家族に対する支援の充実に資するよう、全国の支援拠点等における支援の実態に関する調査や課題解決のための取組等を進める。
(3)人材育成
高次脳機能障害、発達障害に係る支援者、関係者の資質向上を図るための研修等を実施する。
7.業務の質の向上と効率的・効果的な事業運営
中期目標と毎年作成する運営方針、組織目標による目標・進捗管理の仕組みにより、業務の質の向上とガバナンスの確保を図る。
(1)事業の実施・評価後の見直しと改善の推進
運営方針、組織目標について、PDCAサイクルを更に定着させることで、定期的に見直しを行い改善点を明確化して組織として共有しつつ、事業に反映させることで業務の質の向上を図る。
(2)部門間での課題共有と連携による一体的な取組の強化
部門間での課題を本中期目標で明確化のうえ共有し、一体的な取組を強化していく。
(3)運営委員会の開催
国リハの適正かつ円滑な運営を図るための諮問機関として運営委員会を開催し、いただいた意見を適切に事業運営に反映させる。
8.情報セキュリティ対策
(1)情報セキュリティ対策の継続的な実施
インターネット及び電子メール等を利用した情報交換に際して必要なセキュリティ対策を、厚生労働省等と連携して実施する。
(2)法令等遵守
厚生労働省の情報セキュリティ対策の包括的な規程である「情報セキュリティポリシー」を遵守した取組を進める。
(3)情報セキュリティの重要性の周知及び研修
情報セキュリティの重要性について、職員に対しより一層の理解を深めるための周知及び研修を実施する。
第3 部門間での課題共有と連携による一体的な取組の強化に関する事項
1.医療から職業訓練・社会生活までの連携した支援
病院、自立支援局が連携し、重度障害者に対して、医療→自立訓練・就労支援→社会生活までの円滑なサービス利用を推進する。
2.先端技術を利用したリハビリテーションサービス実施のための連携
病院、自立支援局において新しいリハビリテーション技術・診断・治療技術、先端技術を利用したリハビリテーションサービスを行うため、研究所と連携し、その推進に努める。
3.障害者の支援機器の普及等に向けた取組
支援機器イノベーション情報・支援室において、病院、研究所と連携し、障害者の支援機器が適切に支給されるための取組を推進するとともに、その普及促進を図るため、必要となる情報を積極的に発信する。
4.戦略的な情報発信の実施
広報委員会が中心となって各部門と連携して、前期の情報発信活動(広報を含む。)についての効果検証を行った上、組織としての広報(情報発信)の基本方針を見直し、その方針に基づき、広報活動を効率的かつ効果的に実施する。
(1)リハビリテーションに関する的確な情報収集・発信に資する戦略的な広報の実施
① 情報発信機能の充実・強化
集約した障害者のリハビリテーションに関する知見や技術等の各種情報を分かりやすく発信するために、情報発信機能の充実・強化を図る。特に、オウンドメディア(国リハWebニュース、X、YouTube等)については、積極的に取り組む。
② 関係人口増加に向けた取組の推進
戦略的な広報活動を通じて、関係諸機関等外部とのつながりの充実・強化を図り、国リハの認知度を高めることにより、関係人口の増加に向けて積極的に取り組む。
(2)情報バリアフリーに配慮した情報の発信
情報バリアフリーに配慮した情報発信を積極的に推進するとともに、情報アクセシビリティの観点から更なる効果的な発信方法を推進する。
(3)障害理解に関する普及啓発
ホームページの充実、障害者週間記念事業の実施及び自治体等が実施する障害に関する普及啓発活動への協力等により、障害に関する理解の促進を図る。
(4)事業成果の全体集約及び周知
国リハの毎年の事業成果を事業報告として取りまとめ、ホームページ等により広く関係者に周知する。
5.データの管理と解析支援、情報発信
(1)企画・情報部は、研究所と連携し、データポリシーを見直し、情報公開に必要な整理を行う。
(2)企画・情報部は、研究所と連携し、各部門の協力を得て、機関リポジトリを構築・運用し、障害に関する情報の収集と発信に関する機能の充実を図る。
(3)研究所は、各部門と連携し、必要に応じて各部門の事業データ等の解析支援を行う。
6.人材育成(養成・研修)
(1)部門間の緊密な連携により、養成事業を通じた専門職種の人材育成を強化する。
(2)部門間の緊密な連携により、企画・立案、講師派遣等による研修事業を通じた現任者への人材育成を強化する。
7.災害等緊急時の危機管理の充実
消防防災計画に基づく避難訓練等の実施により、職員及び利用者の防災意識の向上に努めるとともに、大規模災害等による被災障害者の受け入れや専門職の派遣等を積極的に実行する。
(1)防災意識の向上
全職員に対して研修等を通じた危機管理意識の高揚や防災意識の向上を図る。
(2)災害時の対応等
① 災害時の事業継続計画(BCP)の必要に応じた見直しの他、被災地への専門職員の派遣等、地方自治体等の関係機関からの要請に迅速かつ的確に対応するため、現行の「災害時の身体障害者避難受入マニュアル」をもとに、国リハ全体で広域大規模災害における被災障害者の受入(例えば障害別等)に向けた実効性のある体制づくりの検討に取り組む。
② 福祉避難所協定等について地元自治体との連携体制の構築を図り、より有効に機能するよう努めるとともに、必要に応じて「福祉避難所開設・運営マニュアル」の見直しを行う。
③ その他各部門で策定している既存の災害関連マニュアルについては、必要に応じて見直しを行う。
8.リハビリテーションに関する国際協力
国際協力推進本部会議において、国リハ全体の国際協力のあり方や方向性・課題等を検討し、取組状況等の情報共有を図りながら、国リハが有する障害者のリハビリテーションに関する情報や技術をもって、WHO指定研究協力センターとしての活動等、国際機関への協力や日中韓のリハビリテーションセンター間の連携・協力等の国際協力の活動を推進する。
(1)WHO指定研究協力センターとしての活動
① 行動計画の着実な実施
障害の予防とリハビリテーションに関するWHO指定研究協力センターとしての行動計画に沿った活動を着実に実施する。
② WHO指定研究協力センター間の連携の推進
西太平洋地域等の障害とリハビリテーションに関係するWHOの会議及び開発等に参加し、WHOの方針及び他の参加国の情報を収集して国リハの国際協力に反映させるとともに、国リハの有する知見を情報発信することを通じて、WHO指定研究協力センター間の連携を推進する。
(2)日中韓の連携の推進
日中韓のリハビリテーションセンター間の連携協定に基づく活動を引き続き実施する。
(3)国際協力の推進
① 海外のリハビリテーション従事者の人材育成と見学者への情報提供
国リハが有するリハビリテーションの技術や情報を海外のリハビリテーション従事者への研修、見学を通じて提供する。
② 情報収集・発信の強化
国際会議への参加やホームページ等を通じて、国リハの有する知見や国際協力の活動を海外に情報発信する。
第4 業務遂行能力の向上と業務運営の効率化に関する事項
1.法令等遵守の徹底
法令等遵守を徹底し、適切かつ確実な業務遂行を図るため、組織的に法令等遵守体制がさらに機能するよう徹底するとともに、業務の質の向上に努める。
(1)組織的な法令等遵守体制及び効果的な運用
① 適正な法令等遵守体制がさらに機能するよう徹底し、実効性のある効果的な運用を図るため、共働支援システムの掲示板等を活用し、職員へ迅速かつ確実に周知する。
② 職場におけるハラスメントの防止について、研修会の開催やe-ラーニングの受講を促す等、管理監督者及び職員への周知・徹底を行う。
(2)業務の質の向上推進
① 業務マニュアルを可能なものから速やかに作成・更新する等、国リハ全体で業務の標準化及び引継の適正化に取り組む。
② 業務プロセス管理を徹底するとともに、定期的な内部点検(検証)を実施し、その点検結果の分析及び過去の監査等の指導等を踏まえた改善を行う。
③ 業務処理等における過去の誤り等の事例を国リハ内で共有するとともに、職員間の適切な引継と連携を行っていく。
2.事業、運営に携わる人材の計画的育成等
日常のOJTに加え、業務の専門性等に応じた勉強会や研修会等を実施し、職員の資質向上を図る。
(1)職員の研修会の実施
① 研修効果の向上を目指し、内容及び実施内容等のメニューを充実させるとともに、e-ラ-ニング研修を効果的に実施していく。
② 各職場内で受講しやすい環境づくりを行う。
③ 職務内容の教育訓練等を推進し、専門性の向上を図る。
④ 自らの専門領域はもとより、それ以外の研修受講を奨励し知見を深め資質向上を図る。
(2)知識の伝承及び職員相互の研鑽
効率的・効果的な知見・教育・技術の伝承・蓄積を行うとともに、職員の相互研鑽に資する取組を推進する。
3.効率的な業務運営体制の確立
コスト削減意識をもって効率的・効果的な業務運営に取り組むとともにワークライフバランスを推進する。さらに、厚生労働省統合ネットワークを積極的に活用し、業務のデジタル化を促進する。
(1)コスト削減意識の向上
各事業及び事務について、コスト削減意識をもって効率的・効果的な実施に努める。
(2)業務のデジタル化の促進
業務のデジタル化を促進する観点から、引き続き厚生労働省統合ネットワークシステムの有効活用を図り、もって業務効率化及び生産効率性を意識した働き方を推進する。
(3)職員のワークライフバランスの推進
ワークライフバランス推進のため、年次休暇取得の促進・超過勤務の削減等に努める
とともに、職員の健康管理体制の整備を行う。
① テレワーク導入を始め、ITを活用した業務効率化に関する検討を行う。
② 事務書類の簡素化及び決裁ルールの見直しの検討を行う。
③ 職員が働き続けるための基礎となる健康管理体制の整備を行う。
第5 歳出予算等の改善に関する事項
1.歳出予算の効率的執行等
中・長期的な視点で歳入歳出予算の適正化を図るため、歳出予算の効率的執行・歳入予算の適正計上を図り、財務内容の改善に努める。
(1)効率的な予算執行
① 予算執行実績の分析を行い、効率的な予算執行を阻害している要因を明らかにし、各年度の予算執行計画の策定に反映させる。
② 中長期的な視点に立脚し、国リハ事業の優先度に応じた執行計画を策定する。
③ 調達手続において、国の機関の調達方法の基本である一般競争入札における競争性の確保をさらに推進することにより、予算執行の効率化を図る。
④ 未収債権について、債務者に応じた督促を実施する。
(2)効率的な施設整備
緊急性の高い老朽化施設・設備の修繕等を優先的に行いつつ、中長期的な視点で施設整備計画を策定する。また、「厚生労働省がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の削減等のため実行すべき措置について定める計画」に基づき、国リハにおける温室効果ガス削減に必要な整備・改修計画を策定し、順次実施していく。
2.国有財産等の適正な管理体制の充実
所有する国有財産及び物品について、法令等に基づく手続を適確に行い、適正に管理する。
(1)管理体制の強化
国有財産総合情報管理システム及び旅費等内部管理業務共通システム(SEABIS)を活用し、所有する国有財産及び物品を適正かつ効率的に管理する。