肢体不自由者が自宅などから遠隔でできる仕事の選択肢を、手作業や移動などの身体動作を使う多様な職域に拡張することを目指しています。その選択肢のひとつとして互助型介護補助システムを開発しています。
互助型の介護補助ロボットコンセプトについて
・ロボットを介して、介護職員や介護サービス利用者と会話しながら、運搬作業や見回りの補助を担います。
・買い物カゴやトレーに入れた日用品、宅配便などを運ぶことができます。
・肢体不自由者にとって、自身の介護を受けた経験を基に、かゆいところに手の届く支援を提供できるかもしれません。
・介護専門職にとって、状況に左右されやすい介護業務を単なるロボットにおまかせするのは、まだ困難です。しかし、介護をよく知る肢体不自由者の作業であれば、おまかせも可能となります。より専門性の高い業務に時間を割けるようになります。
・介護サービス利用者にとって、ロボットの向こうに同じような経験をもつ人がいることで共感を生み、単なるロボットによる支援ではなく、当事者同士の支え合いを実現します。

活躍イメージ

・日用品運搬や処理
・用具だし
・記録
・一時見守り
・車いすの位置調整
・配膳者等との連携
などの補助的業務を介護専門職と連携して行い、プッシュ型のコミュニケーションを含む介護サービス利用者とのピアサポートを実現します。
就労に必要な作業支援機能の開発
・奥行きの可視化支援
・衝突リスク予測支援
・錯覚による意識下ナビ
・手先映像の拡大機能
・俯瞰映像の統合機能
・背後映像の統合機能
などの支援機能を開発し、肢体不自由者の作業意欲と効率との両立を目指しています。

(参考資料)
・河村, 水矢, 村石, 阿部, 眞野, 中山, 東, 重度肢体不自由者等が遠隔操作ロボットを介して介護補助的業務に参加するための操作映像に関する検討, Proceedings of the 2023 JSME Conference on Robotics and Mechatronics, 1P1-E10(1)-(3), 2023.
・河村,中山,東, 肢体不自由者が遠隔操作する低自由度構造のロボットの介護補助的業務における活用可能性の検討, LIFE2022論文集, pp.674-675.
・Kawamura, Using depth map as interface to predict collision risks in remote participation assist system, Proceedings of 2021 IEEE 3rd Global Conference on LifeTech, doi: 10.1109/LifeTech52111.2021.9391801
・Kawamura and Fujimoto, Experimental validation of interface aiding human depth prediction on images in terms of usability, Proceedings of IEEE I2021, pp. 1-6, doi: 10.1109/ICM46511.2021.9385644
・河村, 藤本, 遠隔操作の実行段階での映像拡大に起因する予測誤差と補償可能性の考察, 日本機械学会論文集, Vol. 87, No. 898(2021), DOI: 10.1299/transjsme.21-00161
・河村,ロボット視点の情報のみからなる2D映像を常時観察しつつ任意点までの奥行き誤差を認知できるインタフェースの提案と実用上の課題, 日本機械学会論文集, Vol. 87, No. 896(2021), DOI: 10.1299/transjsme.20-00269
・Kawamura and Fujimoto, Analysis of stereo camera parameters effect on stereo matching performed by remote operator, Proceedings of 2020 IEEE 2nd Global Conference on LifeTech, doi:10.1109/LifeTech48969.2020.1570618948
・河村,水矢,映像刺激を用いた移動体の到達位置予測に関する検討, 日本機械学会論文集,Vol.85, No.874(2019), DOI: 10.1299/transjsme.18-00390
連絡先
国立障害者リハビリテーションセンター研究所・障害工学研究部・自立支援ロボット技術等研究室
河村 拓実 kawamura-takumi[@]rehab.go.jp