吃音(きつおん、どもり)は、話し言葉が滑らかに出ない発話障害のひとつです。単に「滑らかに話せない(非流暢:ひりゅうちょう)」と言ってもいろいろな症状がありますが,吃音に特徴的な非流暢は、以下の3つのどれか1つ以上が見られることです。
上記のような、発話の流暢性(滑らかさ・リズミカルな流れ)を乱す話し方を吃音と定義しています (ICD-10, WHO)。
吃音の9割は発達性吃音です。発達性吃音の特徴として、以下のようなことが知られています。
一方、獲得性吃音には、
があります。どちらも発症時期は青年以降(10代後半〜)です。
以下では、吃音とは発達性吃音のこととして話を進めます。
症状がしばらく続いたり、ことばの出にくさが強くなってくると、「話す」という行為と「嫌悪」や「恐怖」という感情が結びついて(古典的学習)、よりことばが出にくくなります。
何か工夫をしたこと(例:身体を動かして勢いをつける、ことばの最初に「あのー」をつける)でたまたまことばが出たという経験すると、出にくいときは常にその方法を使うようになることがあります(道具的学習)。
このように、単に「ことばを繰り返す、ことばが出ない」という症状以外の特徴(二次的行動)が見られるようになります。
子どもは最初、軽く繰り返すくらいであれば、全く自分の症状に気づかないことが多いです。しかし、頻繁に繰り返したり、ことばが出ないことを経験すると、そのこと自体にびっくりしたり、うまく話せないことを不満に感じたりします。それでも、幼い頃は、その感情もその場限りの一時的なものです。それが成長とともに吃音も固定化し、うまく話せないことが多くなってくると、周囲の人から指摘される場面も多くなり、子どもは自分のことばの出づらさをはっきりと意識するようになります。その結果、話す前に不安を感じるようになったり、話す場面に恐怖を感じたりします。またうまく話せないことを、恥ずかしく思うようにもなります。このような心理は、成長の過程で「うまく話せない」という経験が増えれば増えるほど強くなります。