福祉デザインワークショップ　　主催：国立障害者リハビリテーションセンター研究所　福祉機器開発部　福祉機器開発室

デザインイメージの共有

■日　時　２０１３年３月１日（金）１４：００～１６：００

■場　所　中央区ほっとプラザはるみ

■参加者　障害当事者３名、企業開発者４名、事務局３名

■内　容

　ディスカッション①　企業開発者からの報告及びディスカッション
　　消臭布、おむつ、着替えポンチョ等について

　ディスカッション②　写真を見ながらの検討
　　写真を使ってニーズを表現しよう

■ディスカッション①企業開発者からの報告及びディスカッション

最終回である今回は、今まで検討してきた中で懸案であった、既製の消臭布やおむつ、尿取りパットなどについて、企業開発者から実演を交えての報告があった。有用な商品についての知識をさらに深めたいという感想が多く出され、次年度以降はより具体的な商品の調査・試用ともに、そうした情報を発信できる場の必要性も言及された。

また、災害時に防災トイレを使用する姿をを覆うことができるポンチョ開発についての報告もなされた。

＜紹介された商品＞

・金属イオンで臭いを分解、セラミックスで臭いを吸着させる消臭布（対応臭いはアンモニアのみ）

・空気中に噴霧して、排泄物の臭いを別の臭いに変化させるスプレー

・股上・腹部まである程度の長さのあるおむつ（履くタイプ）

・両面吸収の尿取りパット

・災害時に、排泄する姿を覆うことができ、また被って着替えもできるポンチョ

■ディスカッション②「写真を見ながらの検討」

各自で写真を使ったニーズ・アイディア出しを行い、それぞれの提案に対して、コメント、ディスカッションを行った。このグループには、切羽詰まった失禁対策が必要ではないが多様なニーズがあることが再確認された。

一般のユーザが服や下着を選ぶ時と同じようにデザイン性や着心地を重視したい、という考え方が重要とされている。

■障害当事者からのニーズとアイディア

●障害当事者A
〈ニーズ・アイディア〉
・スリングシート付きのジーンズの提案
・ジーンズにリフターシート機能を付けて、そのままリフトに乗ることができると良い
〈コメント〉
・ごわごわ感が減ると思われる
・スリングシートと服が同じ生地だから、見た目も良い

●障害当事者B
〈ニーズ・アイディア〉
・見た目は普通のインナーで、友達と旅行に行っても恥ずかしくないようなものが良い。
・デザインも色展開も多様にする。
・パットと併用して給水機能があるが、素材は、なるべく通常の布のような消臭生地を使って欲しい。
〈コメント〉
・現在市場にあるものは、高齢者向けが多いので、見た目がかわいいものが欲しい
・履いた時のフィット感が重要
・デザイン的には、股上が深いものは好まれない

●障害当事者C
〈ニーズ・アイディア〉
・未来の膀胱ポートを提案。
・膀胱ろうに装着して、尿を無臭にして、水蒸気として拡散させるような装置。
・ナノテクノロジーや光触媒を用いるのが効果的だと考えられる
〈コメント〉
・不可能ではなさそう。
・都市のゴミ焼却炉のような構造ではないか
・ゼオライトや石灰を使えば、部分的には効果があると考えられる

●障害当事者D
〈ニーズ・アイディア〉
・ひざ掛けに、消臭効果がプラスされているものが欲しい。
・垂れ下がって、車いすのタイヤに触れないようなものが良い。
・消臭と保温の両面の機能があり、クリップなどで簡単に留められる。
〈コメント〉
・タイヤに絡まない事が重要
・車いす側に装備される付属品にしてはどうか
・必要以上に長くなく、膝上まで暖められれば良い

■企業開発者のアイディア

●企業開発者E
〈アイディア〉
・女子向けの案で、見えてもかわいいと思えるような消臭服の提案。
・テニスのスコートのようなオーバーパンツ型（前開き型）が良いのではないか
〈コメント〉
・良いアイディアだと思う

●企業開発者F
〈アイディア〉
・ひもを引っ張るとすぐに締まって脱着が簡単な服の提案
・まず、背中がクロスするひもを肩からつるし、引っ張ると締まるようにする。引っ張ったひもを膝下にくぐらせることで、裾までの布を止められるような構造とする。
〈コメント〉
・急いでいるときに、ひもで引っ張るだけですぐに締まるのが便利

●企業開発者G
〈アイディア〉
・車いす用のひざ掛けを提案
・簡単に装着・脱着ができるデザイン
・消臭には布タイプだと不十分かもしれないので、ダウン系の薄手のもので、消臭材＋空気で臭いを抑える
〈コメント〉
・ゼオライトや光触媒が使える可能性がある
・ダウンの中に消臭効果を入れるのが効果的ではないか