事例(3)C5レベルの新築戸建て

 ADLにおいて、排泄動作の自立・入浴動作の一部獲得まで至った。動作遂行にあたり、レベルや体力的にボーダーラインであるため、本人に合わせた細かい環境整備の必要があった。また、体調不良時のことを考えて、ベッド上からトイレ・風呂の導線を確保した天井走行式リフトの設置も行った。

【プロフィール】

◆20代・男性
◆障害名:頸髄損傷(C5完全)による四肢麻痺 
◆Zancolli(ザンコリー)の分類:左右 C6A
◆家族構成:母・兄
◆ADL動作/最終段階
食事、整容、更衣動作などの身辺動作は自立。
排尿は自己導尿で自立。
排便高床式トイレで自立(排便カメラ使用)
入浴は移動などの一部動作可能。
移乗はコの字型トランスファーボード使用にて可能。
スロープは1/17であれば使用可能。

設計図

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アプローチ

スロープ

 

スロープ素材

玄関(段差解消機設置予定場所)

自室からの出入り口

自室のクレセント錠

駐車場から、スロープ(1/17勾配)を利用して、家屋裏にある自室の掃き出し窓から出入りを行う(スロープ素材は滑りにくいものを使用。スロープ上部には雨よけを設置。長いスロープになるため中盤には休憩できるフラットなスペースを設ける。)。 ※正面玄関横には、将来的に段差解消機が設置できるスペースを確保している。

トイレ

高床式トイレ全体

 

トランスファーボード

高床下の収納

汚物流し

浴室と連動した高床式トイレ。自力で動作を行うことや、移乗動作用のトランスファーボードを設置するため、広めのスペースを確保。排尿処理等にも用いる汚物流しを設置。排便は、排泄支援装置(カメラ装置)を使用して座薬挿入動作などを行っている。
※高床下は、収納スペースとして有効活用。

浴室

脱衣場と高床式浴室

 

浴室の建具のレールとカバー

高床式トイレと連動した浴室

パネルヒーター

トイレスペースで更衣動作を行い、浴室まで移乗可能な導線にしている。扉で区切られているため、レール部分には、褥瘡予防のためのカバーがはめ込まれる。浴室は家族とも兼用であり、出入り口を別に設けている。
洗い場床は、スポーツマットを敷き詰めて、水はけの良いように穴を開けている。マット下はスノコを敷いている。背もたれは、姿勢を安定させるために、アールやグリップを設ける工夫を行っている。

その他

天井走行式リフトと梁の通行部の工夫(ベッド⇔トイレ⇔浴室の導線で使用可)

自室(室内は床暖房を設置)

扉の把持

洗面台のシャワーヘッドの蛇腹部分を加工し延長固定を行った。
(洗髪時に、柄のヘッドを持てないため)