フッター:
ページの先頭 本文へジャンプ


現在の位置
リハビリセンタートップページ研究所感覚機能系障害研究部 >吃音について
ナビゲーションおわり
ここから本文  本文を飛ばす
目次おわり:

吃音の研究

1.脳機能

 吃音のある人が話しているときの脳の活動を調べると、吃音のない人と異なる特徴があることが指摘されています。それらは、

  1. (1) 吃音が生じているときに脳の右半球が大きく活動している
  2. (2) 吃音が生じているときに左半球の聴覚野(音を聞いたときに活動する領域)の活動が低い

というものです。

 まず(1)については、一般に右利きの成人の約98%は、脳の左半球に発話に関する領域があると言われています。つまり大抵の人は話している最中、脳の左側の言語領域が活動します。しかし、吃音のある人を調べると、発話中(特に吃音が生じているとき)に右半球の領域(吃音のない人の左半球にある言語領域と同じ位置にある領域)に大きな活動がみられています(Fox et al, 1996; Fox et al, 2000; Braun et al, 1997; De Nil et al, 2000)。さらに興味深いことに、吃音の訓練を受けた後に再度調べてみると、吃音であった人も脳の活動領域が左半球に変化しているという報告もあります(Neumann et al, 2003)。

 また(2)については、通常我々は発話中、自分の声をモニターしたり発話を制御するために聴覚フィードバック(自分の声を耳で聞くシステム)を使用しており、発話中は脳の聴覚野に活動がみられます。しかし、吃音のある人を調べると、発話中(特に吃音が生じているとき)に聴覚野の活動レベルが吃音のない人よりも低いことが報告されています(Fox et al, 1996; Fox et al, 2000; Braun et al, 1997; De Nil et al, 2000)。加えて、吃音のある人が自分の発話を聞く方法を変更する(騒音の下で自分の声を聞く、自分の声を時間的に少し遅らせて聞くなど)ことで、流暢さが増加するという現象も古くから指摘されており(Brayton & Contur, 1978; Howell, El-Yaniv & Powell, 1987)、吃音に聴覚処理が関係していることが推測されます。

2.発話行動

 吃音の出現のしかたは、話すさいの周囲や直前の状況、話そうとする文に含まれる音などの言語学的な条件などによって変化します。 そうした特徴から、吃音が起こる過程を推測する試みが続けられてきました。 聞こえる音に変化を加えることの効果は、前述したとおりです。 雑音を一緒に聞く、声を遅らせて聞く以外にも、機械によって声の高さを高くまたは低く変えて聞くことによっても吃音の生じる割合が減ることが 示されています(Kalinowski et al, 1993, Ingham et al, 1997)。 ただし、人によっては、話す状況によって、また、声の高さを変えて発話を行う時間を増やした場合には効果が出ないという報告があります(Stuart, 1998)。 吃音を減らすという目的で使い続けるという用途を考える場合は、 日常的な会話場面で長期的に使っても実験室内同様の効果があるかどうかの検証が必要です。

[感覚機能系障害研究部のトップページへ]
  
最終更新日:2012年10月27日
本文おわり:
フッター:
問い合わせ先 国立障害者リハビリテーションセンター研究所, all rights reserved.
〔所在地〕 〒359-8555 埼玉県所沢市並木4丁目1番地 〔電話〕 04-2995-3100(代) 〔FAX〕 04-2995-3132(代)
ページおわり ページの先頭に戻る