国立障害者リハビリテーションセンター研究所福祉機器開発部

認知症者の福祉機器の研究開発

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(最終更新日時:2015年1月26日)

■ 認知症者とは?

 このホームページでは,進行性あるいは慢性の脳疾患(アルツハイマー病や脳血管性認知症など)のために,記憶や見当識,理解など多数の認知機能の障害(認知症)を有しながら生活している,若年者および高齢者を「認知症者」(または認知症のある方)と記述しています。日常生活に視点を置くため,「患者」という言葉は用いていません。

■ 認知症者の福祉機器とは?

 従来,認知症に関わる福祉機器は,徘徊感知機のように,介護者を支援する機器を中心に開発されてきました。しかし,近年,認知症当事者を支援する機器が開発されるようになってきています。この認知症者の機器の中には,認知機能を代行する機器,認知的な負担が軽い機器,安全のための機器,情緒を安定させるための機器などがあります。欧米では実生活での利用も始まっていますが,国内での自立支援機器の研究開発はまだ少なく,購入できる機器も限られています。今後,機器の開発と普及が進むことが期待されます。

 自立支援機器の例;

アラーム付き薬入れの写真です

  「アラーム付き薬入れ」

   機能:薬を飲む時間を音で知らせてくれ,1回に飲む量だけの薬が取り出せる。

   効果:記憶障害があっても,決まった時間に適切な量の薬を忘れずに飲むことができる。

 日付表示時計の写真です

  「電子カレンダー」

   機能:日付と曜日を表示する。

   効果:「今日がいつなのか」を気になったときにいつでも確認することができる。

シンプルリモコンの写真です

  「シンプルリモコン」

   特徴:必要最低限の数しかボタンがない。

   効果:簡単に家電を操作することができる。

■ 研究目的

 私達は,認知症者の生活の質を向上させる福祉機器の開発と普及を目的とし,認知症者の生活と心身特性の関係を分析しながら,福祉機器の研究開発を進めています。

■ 国リハ版 認知症者の自立生活を支援するシステムの開発・実用化ロードマップ(2008)

 今後10年の目標として,人による支援,福祉機器など物による支援,社会による支援を活用して,5年後には「認知症者が暮らしやすい社会」,10年後には,認知症に対応した環境が整っており,より特別な支援を必要とせずに,「認知症者が普通に暮らせる社会」の実現を目指しています。このために,福祉機器の研究開発分野に期待される動向をロードマップによって示しました。まず,既存の機器の効果に関する実証研究を進め,そこから出てきた知見を新しい機器の開発につなげます。また,この過程で得られた認知症者の特性を一般製品の設計に反映させ,多数の製品のユニバーサルデザイン化を図ります。将来的に,前述の認知機能を代行する機器,情緒を安定させる機器,安全のための機器などが開発され,認知的負担が軽い製品が充実してくれば,認知症者がより特別な支援を必要とせずに自立生活を営めるようになると考えます。

PDFファイル 国リハ版ロードマップ ダウンロード(81 kbyte)

■ 福祉機器開発部では,こんなことをしています

 1 新しい機器の開発

   1-1 情報呈示機器

   1-2 電子日記システム

   1-3 情報支援ロボット

 2 既存の機器の調査,および情報提供

   2-1 認知症者の生活支援機器データベースの公開

   2-2 認知症のある人の福祉機器展示館の公開

 3 機器を用いた自立支援手法の開発

   3-1 利活用支援マニュアル(捜し物発見器、アラーム付き薬入れ、電子カレンダー、簡単家電)の公開

■ イベント

 2006年 11月 11日(土) 認知症のある人の福祉機器シンポジウム [終了しました]

 2007年 12月 8日(土) 第2回 認知症のある人の福祉機器シンポジウム [終了しました]

 2008年 12月 6日(土) 第3回 認知症のある人の福祉機器シンポジウム [終了しました]

 2010年 2月 28日(日) 第4回 認知症のある人の福祉機器シンポジウム [終了しました]

 2010年 12月 5日(日) 第5回 認知症のある人の福祉機器シンポジウム [終了しました]

 2012年 2月 25日(土) 第6回 認知症のある人の福祉機器シンポジウム [終了しました]

 2013年 3月 17日(日) 第7回 認知症のある人の福祉機器シンポジウム [終了しました]

 2013年 11月 4日(月) 第8回 認知症のある人の暮らしをひらくネットワークづくりへ [終了しました]

 2015年 3月 1日(日) 第9回 高齢社会を支えるコミュニケーションロボットシンポジウム

■ 問い合わせ先

 認知症のある方や介護者の方,その他関係する全ての皆様から,「こんな福祉機器があったら,便利なのに!」「こういうことに役立つ福祉機器はないかな?」といったご意見・ご質問を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

 ■ 西浦裕子
  住所  〒359-8555 埼玉県所沢市並木4-1
       国立障害者リハビリテーションセンター研究所 福祉機器開発部 
  電話   04-2995-3100 (内線 2523)
  FAX   04-2995-3132
dementia@rehab.go.jp

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