開発会議A:第四回

開催概要

日時: 2014年1月12日(日)13:00 ~ 15:00
場所: ニュー新橋ビル バリュー貸会議室425
参加者: 【ユーザ】 4名(介助者1名),【開発者】 9名,【オブザーバ】2名,【スタッフ】 4名

プログラム

13:00~ 進め方の確認とこれまでのおさらい
      ・機器開発の分類とプロセスの説明
13:30~ 提案された機器に対する報告及び意見交換
      ・爪切り台
      ・折りたたみスロープ
      ・ヘルパーマニュアル など1
15:00  閉会

内容

1. 進め方の確認とこれまでのおさらい
〈機器開発の分類の説明〉(写真1参照)
・現在できている行為、できていない行為と、身体の機能との関わりのあるもの、無いもの軸で整理すると、要求機能と制約条件との関わりが見えてきた。思いを言葉にすることと、言葉を形にする段階の違いがあり、提案されたそれぞれのものについて整理しながら、その段階で必要なことを話し合うことが重要である。

2. オブザーバー紹介
・前回提案のあったヘルパーマニュアルへの制作支援について、ICT治具を活用したHP制作を行っているダンウェイ株式会社の2名が参加。

3. 提案された機器に対する意見交換
【爪切り台】
・第2回ワークショップで作成した爪切り台を実際にユーザが利用した感想を報告。
・今後、高さやサイズを変えられるものや、踵への負担の少ない素材の検討をしながら、作成できる業者を探していきたい。

【車いすユーザの履く靴】
・今後、メンバーの一人がVerbFit(オーダーメードの靴・靴型装具の製作会社)で義肢装具士と相談しながら実際に靴をつくる過程をレポートしながら、報告してくれることとなった。

【折りたたみスロープ】
・参加者全員が「持ち運びを考えた重さ」「折りたたんだ時のスロープの大きさ」「車いすで超えたい高さ」「角度」「価格」などについて、シートを利用して書き出した。以下、多く出された意見を示す。
〈重さ〉2㎏くらいまで(2ℓのペットボトル程度)、より軽ければ軽いほど良い
〈大きさ〉女性のカバンにも入るA4サイズくらい
〈超えたい高さ〉5㎝~15㎝ほど
〈スロープ時の角度〉20度~30度前後
〈価格〉1~2万円程度
〈その他〉耐荷重300㎏は必要

・鉄道で取り入れられているスロープは素材も良く高価なものである。しかし個人で持つ場合はその金額を捻出するのは難しいので、制度的な支援があるとよいのではないか。

【ヘルパーマニュアルについて】
・曜日、時間により異なるヘルパーを利用するが、その都度ヘルパーの得意分野などを考慮しながら依頼することを考え、お願いするようにしている。
・体調の良し悪しにより、伝えるのが難しいこともあるので、マニュアルがあると心強い。
・日常の様々な行為(ベッド移乗・車いす移乗・トイレ移乗などへのリフト利用、スリングシート使用法、排泄、入浴、着替え、電動ベッド操作など)があり、ユーザそれぞれでやり方も異なる。機器利用には危険も伴う。その危機管理を伝えたい。
・写真でそれぞれの行為をヘルパーに見せながら指示しているユーザもいる。ヘルパーも理解しやすい。
・曜日ごとに決められた行為をするためのカードを作成してはどうか。たとえば掃除ならば、月曜日はここをこのように掃除、火曜日はこのように、など。個々人のこだわりもそれぞれ違うので、ヘルパーとしてもそのような情報がわかりやすく整理されているとありがたい。
・冷蔵庫の中や引き出しの中などを前日のヘルパーに書き出してもらい、翌日のヘルパーに伝えるなど、ビジュアルでわかりやすい伝え方の工夫も必要。
・一週間24時間の行動を表形式にし、そこから各行為、項目の行動方法がわかるように写真を入れる、言葉で書きおくなど利用者各自で作成するようにできるとよいのではないか。(写真5参照)
〈例〉入浴の説明の事例
1)バスタオル、着替えを出す
2)ベッド上でズボンを脱ぐ(写真で示す)
3)リフトで車いすに移乗する→トイレに向かう
4)便器で排泄する
5)風呂用のシャワーチェア(セパレートタイプ)に乗り換える
6)上半身の衣類を脱ぐ
7)シャワーチェアで風呂場に移動する
8)湯船に入る
9)洗い場でシャワーチェアに乗る
10)頭と顔を洗う
11)人工呼吸器をつけながら体を洗う
12)湯船に入る
13)人工呼吸器を外す→体を拭く
14)寝室に移動
15)呼吸器をつけて細部を拭く
16)スリングシートにくるまれてリフトに移る
17)ベッドに移乗する
18)自分で薬、クリームを塗る
その間、ヘルパーは片づけをする
19)呼吸器をつける
20)横になってパンツを履く
〈マニュアルの目的として〉
○本人とヘルパーのコミュニケーション支援
○使う範囲とシチュエーション・バリエーションを考えること。
→まず作成してからバージョンアップしていけるとよい。
〈注意点・その他〉
・マニュアルにあることだけがすべての仕事ではないことを伝えなくてはならない。
・ヘルパーと同じ思いで使えるか。
・コミュニケーションの基本は対面であることなので、あくまでマニュアルはサポート役としたい。
・ITを使うにしても、使う目的はしっかりと持ち続けることが重要。
・蓄積された後の使用法、今後の利用のされ方も念頭において作成したい。
→自閉症にも利用できるかもしれない。
・基本的なことを作成することはできそうだが、それぞれの利用者のカスタマイズがポイントとなる。すべての要素を書き込むと複雑になりすぎてしまうので、どのように伝えるとどのように役立つか、使用しながら修正していけるとよい。

4. 今後の進め方について
・次年度に向けて、現在ある器具、支援などをどのように見つけるかを含め、2/2の報告会で報告とともに皆で検討することとする。

写真1
写真1  これまでの取り組みのまとめ。

写真2
写真2  ヘルパーマニュアルの議論。

写真3
写真3  会場の様子.

写真4
写真4  会場の様子.

写真5
写真5  ヘルパーマニュアルの大枠を検討.