アクションプラン・災害対策:第二回

開催概要

日時: 2013年11月24日(日)15:30 ~ 17:30
場所: ニュー新橋ビル バリュー貸会議室425
参加者: 【ユーザ】 3名(介助者1名),【開発者】 6名,【スタッフ】 4名

プログラム

15:30~ 進め方の確認とこれまでのおさらい
15:40~ 震災時の事例紹介(東日本大震災)
       前回作成シミュレーションの確認
16:00~ ADL、排泄評価表チェック
16:45~ どうする?どうなる?災害時のシミュレーション
17:20~ 各班の発表

17:30  閉会

内容

1.進め方の確認とこれまでのおさらい

2. 震災時の事例紹介
東日本大震災で大きく津波被災に見舞われた大船渡市で被災した住む男性の被災体験を、周辺状況の写真・地図を交えて紹介。元大工さんであり、脊椎損傷で手動車いすユーザである男性の被災体験を基に、震災直後から現在までの実際のケースについて紹介。
○ 自宅で被災、車で高台の親戚宅に避難(事前に取り決めていた)、自宅は津波により全壊となり、以後1か月半ほど親戚宅にて避難生活。
○ 親戚宅の畳を痛めることを気にし(親戚は良いと言ってくれたが遠慮があった)、這って生活をしていたため褥瘡になる。また、ライフラインが途絶え尿道カテーテルの洗浄ができなかったために感染症を起こし、病院に何度も通うことになった。
○ 普段通う病院も被災する可能性が高いので、他の病院に行っても説明ができるように『お薬手帳』を準備しておいた方がよい。
・・・等々、実際の被災されてから現在までの体験を、参加者一同、自らに重ね想像しながら話を聞いた。
スライド:PDF1.68MB

3.ADL、排泄評価表チェック
・NPOトイレ研究所理事である高橋氏より、アメリカでの障害者災害対策事例の紹介を受ける。その後、ADLや排泄状態(排尿、排便それぞれの手法や準備しているものなど)についての質問シートを記載。健常者の参加者は障害者メンバーの普段のADL、排泄状態について想像を巡らして記載。
・電動車いすユーザは、全介助の方が多いことから、災害時の介助者・ヘルパーの必要性が浮き彫りになる。
・東日本大震災時はカテーテルの入手が困難になり、予備カテーテルを支援物資として届けてほしい、との声が多く出された。
・自宅に必需品やカテーテル、薬などをストックしていたとしても、災害時にそれを取り出すことができるか。
・災害時用トイレが各地に設置されているが、体験したことがある人はごくわずかであった(1名)。
・備えをどこまでするのか、個人でどこまで考えて行動するのかなど、議論の余地はありそうである。

4.どうする?どうなる?災害時のシミュレーション
災害が発生してからフェーズを追いながら、課題を整理するシミュレーションを実施した。
■シミュレーションで把握された課題
(Iさん)
〈自宅〉
・公営住宅の1階に住んでいる。
・近所の人で気にかけ、来てくれる人がいる。
※3月11日の際も、何人も心配して駆けつけてくれた。
・ヘルパーのいない時間帯に被災した場合、ヘルパーが来るか、近所の人が来るまで、動くことができない。
・ヘルパーも家族があるので、時間外まで引き留めたくない。
※3月11日の際、まだ終了時間になっていなかったが、ヘルパーの家族が心配なので帰し、次のヘルパーが来るまで一人でいた。
・ライフライン、特に電気がストップした場合は、呼吸器、電動車いす、リフト、電動ベッドが使えなくなると致命的。予備バッテリーは用意しているが、呼吸器だけで使用し続けて18時間分しかない。
※3月11日の後で、足立区及び東京都が予備バッテリーを使えるようにしてくれている。いざというときは利用することになる。
〈外出時〉
・ヘルパーとともに自宅に帰るよう目指す。
・がれきで歩けなくなることも想定される。
・2階以上にいる場合、EV復旧まではその場で待機せざるを得ない。
→そうした対策として、水・食料を持ち歩くことも考えたい。
〈避難所〉
・生活が難しいと思うので行かないと思う。
〈福祉避難所〉
・避難所を利用するとしたら、福祉避難所がよい。自宅近辺の情報を調べておきたい。
〈仮設住宅〉
・バリアフリー住宅・設備でないと、入居が難しい。
〈みなし仮説〉
・バリアフリー住宅・設備でないと、入居が難しい。
〈その他〉
・自家用車の中に避難用具を入れておき、自宅にいられなくなっても車内でしばらく避難することも考えられる。
・自宅が全壊、福祉避難所も難しいような場合、遠方避難も考えたい。それができるような遠方との連携(都?区?施設ごと?NPOなどの支援団体?)があるとよい。
・ヘルパーも被災してこられないようなことも考えられるので、施設単位でヘルパー派遣をしてほしい。
・災害時のヘルパーとして心強いのは、ひとり暮らしの若い男性。ご家族がいる方は、その方のご家族が心配になってしまう。

写真1
写真1  参加している障害者メンバーの状態を推測.身近なのに意外と知らない.

写真2
写真2  災害時の行動をシミュレーション.

図1
図1  東日本大震災で被災された手動車いすユーザの方の行動.拡大版はこちら

図2
図2  シミュレーション結果:その1.拡大版はこちら

図3
図3  シミュレーション結果:その2.拡大版はこちら