<XII>その他

ⅰ)スイッチ類

 種類によっては市販のものでも照明などは赤外線で操作可能なものもあります。また、学習リモコンや環境制御装置(ECS)に組み込んで使用することも可能です。新築や改修の場合、スイッチの高さは手が届く範囲で押しやすい位置に配置すると有効ですが、賃貸住宅では困難な場合もあります。スイッチ部に手が届きにくいときは、子ども用の後付可能なスイッチを押す補助器の取り付けという手段があります。また、現状復帰を前提として、なるべく大きなパネルスイッチに交換する方法もあります。(現状復帰前提)

ⅱ)冷暖房

 頸髄損傷者は体温調節障害があるため、個々にあわせてエアコンの設備・床暖房などの整備を行います。
自室・トイレ・浴室など日常使用する場所には整備しておくことが理想です(部屋が広すぎる場合には、エアコンの効きが悪いこともあるので、間取りにも留意する必要があります)。冬場は、床暖房を併せて使用することも効果的です。

ⅲ)窓

 窓を自力で開閉できるように把持を取り付ける場合があります。また、クレセント錠も長めのものに交換し、使用しやすい高さに合わせることも有効です。自室の掃きだし窓を専用の出入り口に使用する場合は、内外から施錠開錠しやすい鍵の設置も必要です。電動で開閉可能な窓を設置する例もあります。

ⅳ)床材

 フローリングなどの車いす操作が用意に行えるものが理想。畳敷きを自室にする場合は、フローリングカーペットなどを用いることも有効です。車いすを自走する場合は、カーペットや畳、沈み込みのある素材は避けることが懸命です。

ⅴ)段差

 車いすが主の移動手段となるため、段差がないようにすることが重要です。数センチ程度の段差であれば簡易的なスロープを設置すれば乗り越えることも可能な場合がありますが、可能であれば建具の交換により段差をなくすことや、頻繁に使用する箇所には床上げを行って段差をなくすことが理想的です。また、吊り戸やフラットレールを使用することにより段差をなくすことも有効です。マンション・アパートや既存の建物の場合は、廊下面を高くすることや、簡易スロープを設置する場合もあります。

ⅵ)非常時

 緊急時の避難経路として、通常使用する出入り口とは別に避難経路を考えておくことも重要です。少々勾配がきつくても使用可能なスロープや、非常用の段差解消機(停電時でも使用可能な動力の確保が必要)を設置する例もあります。マンションなどの集合住宅の場合、玄関以外の避難経路としてはベランダが考えらますので、車いすでも通行できるように大きな荷物を置くことは極力避けたほうが良いでしょう。また、緊急時に屋内外に連絡できるようにナースコールや緊急通報装置など、簡易に操作可能な方法の検討も必要です。